最大規模のアート北京
今年で13周年目を迎える中国北京・全国農業展覧館にてひらかれた。
期間は2018年4月29日から5月2日(29日はVIP)2017年の世界的に重要なアートフェアは260個あるといわれ、ギャラリーの年間売り上げの約半分を占めることもある。2017年、世界のギャラリーの46パーセントの売買がアートフェアで行われており、前年比より5パーセント上昇している。「アートフェアの時代」に突入したといっても過言ではない。2012年後、中国国内のアートフェアは一線都市(北京、上海、広州)から二線都市へと発展、アートフェアは増加、競争を増している。
アート北京は当初のスローガン「立足本土、完整亜州」(本土からアジアのアートを高める)から今年で13周年目になる。北京市政府と北京市文化局のサポートもあり、アート北京の会場は30000㎡、前年比5000㎡の増加、20の国と地域から、160のアート機関が参加、いままでのアート北京のなかでは最大規模である。
アートマーケットの緩やかな発展、今回のアート北京では若手アーティストと新しいギャラリーの参加によって多様なアートを展示することで各層の異なるジャンルのいろいろな消費者、コレクターをひきつけた.
2017年の世界アートマーケットの売買価格は5000ドル以下の作品が62パーセント、売れた作品の5万ドル以下である。アートフェア開催期間はゴールデンウィークとも重なり、12万人の来場者を記録。
コンテンポラリー区域では全てのギャラリーにて売買成立。100万元(約1736万円)を超える作品がコレクションされ、そのなかでもコレクションされた多くの作品が10-30万元(約176万円から520万円)さらに最も多くコレクションされた作品は2-5万元(約34万円から86万円)映像作品、若手作品は数千から3万元以内が最も多く、質が高く、価格が高くないものが人気をよび、多くの新しいコレクターを呼んだ。
誠品画廊は王玉平の個展、初日から多くの作品が売れ、蜂巣当代芸術センターは墨を使った作品を、美博空間は武芸、譚平の作品を展示、瀚芸術空間は肖魯を展示した。
またアート北京は「映像北京」と題し、映像機関である胡蝶効応と提携しアートとテクノロジー、映像の可能性を提示した。タイトルは「有限&無限」。スマートフォン、テクノロジーの時代における映像、写真作品コレクションの可能性を提示した。
インターネット時代:京東アートとの戦略的提携
今回のアートフェアのスポンサーでもある京東アートは中国の会社、京東(JD)の傘下にある。京東は中国のネットショッピング会社であり、4020万種の商品を取り扱う、年商288.47億ドル(2015年統計)の近年発展が著しい同じく中国ネットショッピング会社のアリババグループ匹敵する会社である。京東アートの李朝菲は「京東アート部門は昨年設立したばかり。今後アート北京やいくつかの機関と一緒にアートをプロモートしていく。京東のプラットフォームを生かし、インターネット上でのアート作品の販売を促す。」と話す。
企業、パブリックアートへ関心
農業展覧館の屋外で彫刻、インスタレーションなどのパブリックアートを展示する2018アートパークの今年のテーマは「自然のなかを歩くアート」農業展覧館1号館の広場にて展示曹雲、陳金慶などの作品が展示されていた。そのなかでも凱徳MALL・天宮院の彫刻「Face Man」は多くの来場者をひきつけた。凱徳MALL・天宮院とはアジア最大の不動産グループのひとつである凱徳グループがひらいているショッピングモール凱徳MALLが今後北京の天宮院にてひらく新しいショッピングモールであり、FaceManはそのマスコットキャラクターである。凱徳グループのIsabelにインタビューをすると「天宮院は来年開く予定です。天宮院は北京にて新しく開く空港に隣接しています。ここでは商業的なショッピングモールだけではなく、アートやデザインと結合し、新しいライフスタイルの提供、流行やニュームーブメントを生み出す場となってほしいのです。そのために、凱徳MALL・天宮院ではマスコットキャラクターとして自社でデザインしたFace Manを採用しました。」Face ManはFaceManでありながら、顔が液晶画面になっている、顔のないマスコットキャラクターであるが、今後設置されると来場者の顔をピックアップ、画面に表示し、顔となる。FaceManでありながら、千変万化の顔、普遍的な顔をもつことができるのだ。このFaceManのきっかけは山東省でひらいた凱徳MALLにマスコットキャラクターを用いて成功したことからきている。またアート北京は今年、伍徳吃托克「伍辺界」という美食グルメとアートをコラボしたブースを設立、多くの来場者を集めた。
IPの注目度高まる
デザイン北京では多くのIP(Internet Protocol)に関するブースがあった。「Global Art Licensing Expo」とかいてあるブースもあり、IPの注目度が高まっているのを感じた。
若手アーティスト展示するHi21
今回アート北京と特別に提携したHiアート。Hiアートの中の若手アーティスト部門Hiアート21では2000㎡の広い敷地を使い、「アーティストA-Z」「彫刻」、「個展」という三つのカテゴリーに分けて数百名の若手アーティストを展示した。
アートフェアの増加、競争の加熱
今年で13年目となるアート北京。アートマーケットの安定、ゆるやかな発展にともない、企業コレクションや若手コレクターなど拡大する北京アートマーケットの潜在力。今年は中国の成都にて初の成都アートフェアが開催され全国的にアートブームである。北京でも新しいアートフェアが2つ増加する。アートフェアの増加に伴い北京のアートムーブメントは静まるところを見せない。フェア中も多くのギャラリーが今後どれに参加するのか討論しているという状況だった。これは中国美術マーケットの新しい可能性となるのか、今後どこにむかっているのか。しかしそれらの現象が中国美術界、世界の美術界に新しい可能性を秘めていて、より多くの人々にアートに触れてもらうよい機会となることに間違いない。
アート北京の会場にて 記者
誠品画廊の責任者、趙琍(左)誠品画廊のブースにて。
誠品画廊のブース 王玉平の個展、手前は王玉平の作品「彪子」
コンテンポラリー展示会場の様子
アート北京のコンテンポラリー館の入り口 手前は陳文令の作品
アート北京のコンテンポラリー館の入り口 手前は陳文令の作品
京東アートのブース 実際に京東で販売している作品を見ることができる。
屋外に展示された凱徳MALL天宮院のマスコットキャラクターFace Man
凱徳MALL天宮院のマスコットキャラクターFaceManの前で、凱徳グループの人々と
JINGARTの会場の前で記者 江上越