私のドイツでの初の個展をひらきました。この展示はOmer Fast教授とともに病院へのリサーチをもとに作品をつくる授業で創った作品を展示しています。
2017年10月からOmer Fast教授とともにカールスルーエのSKK病院(カールスルーエで最も大きい病院のひとつ)を訪問し、初日は病院院長とともに病院を案内してもらいました。この施設は歴史が古いため、旧棟の暖房設備が古いが、保護建築物のためとりこわしができなかったり、病院不足のため病院の拡大事業が進んでいるなど多くの話をきくことができました。特にインタビューでは病院の財政問題、政治と病院の関係はどうなっているのかなど話をきくことができました。こちらの病院は保険会社との関係が深く、保険大国、医療大国のドイツならではだと思いました。
病院の入り口
左はSKK病院の院長 右はOmer Fast教授
救急棟の前で
病院での集合場所
医師からの説明
その後個人的にも3ヶ月間何度も病院にいき、リサーチをしました。
また病院にお願いして、特別に精神科部門とターミナルケアセンター(寿命が6ヶ月未満の患者がいる病棟)を見学し、看護師や医師にインタビューすることができました。
驚いたのはターミナルケアセンターでアートセラピーやミュージックセラピーが行われていことでした。
その後ドイツ鉄道で隣に座っている人と話していると偶然にもストットゥガルトの研修医と知り、ドイツでアートセラピーが普及している理由について質問しました。彼女によるとドイツではアートセラピーやトーキングセラピーなどで医療保険がおりるため利用者が多いのではと話してくれました。
In to the light ドイツ・ZKM アートセンター艦長 Peter Weibel
江上越の芸術創作は彼女の人生経験がもとになっている。彼女の日本での個展《天声人語?》、《覆い隠された真相》、中国での個展《This is not a Mis-hearing game》、《誤聴×真相》、これらは彼女の海外生活の体験からきており、彼女は自分の身で経験し、人生からインスピレーションをえ、それをとりまく社会を再考している。今回のドイツでの個展も彼女がドイツのカールスルーエHFG大学で教授と共にカールスルーエの病院であるStadtisches Klinikum Karlsruhe をリサーチする機会を得た結果であり、それは彼女の感じ取った真実の結晶といえよう。
彼女が言うに、病院は病気を治すところであるが、人が亡くなる場所でもある。それは日本に伝えられるあの世へとつながる三途の川のようである。病院の雰囲気は彼女に生命の大切さ、はかなさ、短さを感じさせ、マッチに燃える火のような短さは彼女に幼い頃に読んだグリム童話物語、「マッチ売りの少女」を思い出させた。同時に病院をテーマにした日本の人気ドラマ「白い塔」、それを取り囲む不条理な社会現象を想起させた。病院とは何か、生命とはなにか、彼女は何度も自分に問う。それはどんなに考えても答えはでないが、しかしその過程がすでに彼女の物語をつくっていった。彼女は作品を通して気持ちや苦悩を記録している。
展示会場に入ると、マッチを擦る音が不気味に聞こえてくる。それはどこはたとなく、恐ろしささえ感じさせる。これは展覧会の中核を成す、マッチを擦る映像作品だ。混沌とした背景の中には密集した文字が見えるが、後にそれがどことなくいろいろな国の文字でかかれた医療用語だとわかる。作家は何度もマッチをすり、灯をともそうとする、考古学者のようだ。マッチの光を透き通して、文字からなにかを探そうとしている。観客も光を通して多くの情報をみようと引き込まれる。しかし、マッチの光と背景に強烈な光のコントラストが出てきたとき、液晶パネル上に映し出されたのは強烈な光の輪でり、文字はその光の輪の中に完全に溶け込んでしまっている。
展示会場の右側には一列の白黒写真が張ってあり、それは映像の裏側にまでずっと続いている。これらは彼女がカールスルーエ市の病院を現地リサーチした記録写真である。
展示会場の真ん中にはドイツではもっとも日常的な緑色観賞植物がいくらかおいてあり、白い長立方体の柱を囲んでいる。やわらかい緑色とまぶしい白がコントラストを校正紙、病院の雰囲気を感じることは容易である。柱の上には一箱のマッチがおいてある。
展示会場の左にある三級の白い階段を上ると、天井からつるされたイヤホンが見える。これはもしかしたら、作家が《天声人語?》の発展でもあり、観客にイヤホンを見民家得るように誘い、そして全ての一切を目の前に天の声をきいてみる。そして意外にも聞こえたのはなんと「てめえ何してるんだよ、妊娠、俺と同じ
Euthanasie, Versicherung……
誤聴は人に笑いをもたらす。彼女はこのような言語ゲームを用いて、展示会場の重い雰囲気を解かし、人々にも考えを展示会場から出て、異なる国、民族の差異、人間の本能その裏にあるもっと深いところにある社会の問題を考えさせる。
彼女は解決することを望まず、探索することに魅了されている。
カールスルーエの冬は寒い。静かな冬の夜、彼女はマッチを一つずつ灯し、またひとつずつ黒い夜に消していく。彼女をこんなにも執着させているエネルギーは何であろうか。彼女はマッチのわずかな光の中に、何をみるのだろうか。
In to the light 江上越展 展示会場
In to the light 江上越展 展示会場-2
In to the light 江上越展 展示会場-3
In to the light 江上越个展 展示会場-4
In to the light 江上越个展 展示会場-5
In to the light 江上越展
In to the light 江上越展 パフォーマンス
In to the light 江上越展 パフォーマンス
ドイツ・KIT大学 David Krenz
The communication game at the end was very interesting and i liked eh concept of different hearings of the words and the similar phonetics. You learn even more with the mishearing because both sides have their own story to the world.
ドイツ・KIT大学 Kornelius Kindermann
Every match burned down in an other way, and the constant need to pay attention and to ignite another one, reminded my very strongly of Sysiphus. Albert Camus described Sysiphus as happy man, as someone, who lives for his work, not working to get somewhere. I felt the same, in these moments, and this circumstance coincided with the other theoretical layers in Etsu Egamis work. The process of understanding, the clacking sounds describing the ongoing learning, just to get a small, fugitive insight, which is quickly covered in darkness again, the edge between Platons depiction of ignorance and knowledge: It was possible, to find all these aspects in this one single match I was carrying with me, while feeling its warm light on my skin.
In to the light 江上越展 ギャラリー外景
In to the light - Etsu Egami solo exhibition》
アーティスト : 江上越Etsu Egami
学術支持:Peter Weibel (ドイツZKM館長)
キュレーター: Malte Pawelczyk(ドイツHFG)
展示期間:2017.12.1-12.13
展示会場:βpace
ZKM館長Peter Weibel館長が展示を見に来てくれました
ドイツHFG大学 Michael Bielicky教授、展示会場にて
ドイツHFG大学Susane Kreeman 教授,Matthias Bruhn教授 Frederik先生、会場にて
HFG大学 Matthias Bruhn教授
A different way of entering the world of hospitals - way are uncomfortable , and they have secrets. Thank you
HFG大学Omer Fast教授が展示会場にきてくれました!
オープニングの様子
展示空間にて 江上越