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えっちゃんの中国美大留学日記 第73回「ドイツ美術界の仕掛け人 第一弾ZKM館長Peter Weibelにインタビュー」

えっちゃん5 dotline ドイツ美術界の仕掛け人 第一弾ZKM館長Peter Weibelにインタビュー
インタビューに答えるPeter Weibel 館長 (右)

インタビューに答えるPeter Weibel 館長 (右)

Peter Weibel 1944年オーストリア生まれ 1999年からZKMの初代館長をつとめ、現在にいたる。 初対面の印象 チェックのスカーフを首にたらし、笑顔で私に挨拶をしてきたPeter館長は温かみがある。インタビュー中、Peter館長はまるで熱意にあふれている空想少年のようだなと感じたのと同時に、非常にクレバーで数学者や物理を勉強した面影を感じた Open Code展:抽象的で多様なコード 今回ZKMでは彼のキュレーションした展覧会「Open Code展」について話した。ここでいう〔コード〕は抽象的な意味でのコードであり、原子にもなりうり、細胞にもなりうり、アルファベットにもなりうる「コード」。 この展示のコンセプトは現代私達はデジタルのコードによってつくられたグローバル化した世界に住んでいる。コミュニケーションから交通まで(人間、ものメッセージ) すべてがコードによってもたらされている。数学と機械は技術学者や物理学者、プログラマーによって新しいツールベースの世界をつくられている。 モールスコードや宇宙のコード、遺伝子コード、コードの世界に生きている。この展示では芸術作品だけではなく科学的な作品を通してこの世界を理解する方法を提供している。
Open Code展示会場の様子-1

Open Code展示会場の様子-1

Open Code展示会場の様子-2

Open Code展示会場の様子-2

Open Code展示会場の様子-3

Open Code展示会場の様子-3

美術館には椅子やソファがたくさん、とてもオープンだ。無料WIFIもあり、プラグもたくさんあるため、パソコンで作業する人が多くいる。また果物、10種類あるコーヒーは無料で飲める

美術館には椅子やソファがたくさん、とてもオープンだ。無料WIFIもあり、プラグもたくさんあるため、パソコンで作業する人が多くいる。また果物、10種類あるコーヒーは無料で飲める

Peter Weibel館長が彼の作品の前で

Peter Weibel館長が彼の作品の前で

メディアアートは永遠であり未来である Peter館長の話すメディアというので私が感じたのはMedia=媒体であり、ツールは変換可能、方程式は不変ということ。だから彼が言うように、アートは常に変化するけれども根本的な原則、物理の法則とか数学は不変だから、方程式は変化しない。つまり、数学不変=テクノロジーは不変=テクノロジーを使ったアートでもあり、コンテンツだけが変わっていく。だから彼の世界観というのはある意味小さいものも大きいものも原理は同じく、とてもシンプルな、根源的なもので世界をみているような気がする。 例えばレコードが電子媒体のMP3になったり、手帖がパソコンになったり時代は常に変化していてるが、方程式はかわらないと彼は話す。 彼の作品自体も方程式の間をいったりきたりしている。メディアのものをオブジェクトにもどしたり、オブジェクトをメディアとして表現したり、時には従来の方程式の有る部分をなくしてみたり、追加してみたり、その方程式の周辺で遊び、楽しんでいるような気がした。
電子機器の歴史も展示してある。

電子機器の歴史も展示してある。

東洋アートの可能性 Peter館長がいうに、東洋のアートの可能性は東洋の伝統と西洋のテクノロジーを混合すること(彼がいうテクノロジーは油絵も含むような?) また東洋と西洋の違いについて、東洋のアートは丸だと話す。マスターピースをぐるぐるまわる、例えば模写を重視したり、だから平和的でもある。しかし西洋のアートは進化と同時に破壊でもあると、だから数年ごとにイズムが出てくるし、破壊なので、問題点も結局は自分を破壊してしまうということ。 だから突破口は結局自分は方程式をもち、(メディア)コンテンツを時代とともに 変換していうということ。 彼がいうに唯一破壊しないのはメディアなのだと。 だから今後のアートの未来はメディアテクノロジーとアートの混合であると話す。
ZKMの入り口にて 右はPeterWeibel館長

ZKMの入り口にて 右はPeterWeibel館長

Peter館長の物理、数学、哲学やアートを超えてつなげて考える発想はとても勉強になりました。ZKMの展覧会はコードというテクノロジーの言葉だけれども、時代や形を超えてそれは太古の昔から存在し、人々の生活を変化させてきた。そのコードをもう一度再考することで何が見えてくるのか、何度もいきたくなる展示でした。


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