中国美術界の仕掛け人、今回は世界トップコレクターの乔志兵を紹介する。彼はアートの収集に活発なだけでなく、それを社会に発信するアートスペース「上海之夜」また芸術が好きすぎて「芸術飯店」までつくってしまう。そしてこの9月に新しいプライベート展示スペース「乔空間」をオープンさせ、他にも油罐アートセンターのオープンを控えている。
乔志兵(Qiao Zhi Bing)
北京生まれ。世界で重要なコレクターの一人。アメリカの美術雑誌「Art + Auction」の「POWER100」世界でもっとも影響力のある人の一人に選ばれる。北京UCCAと上海外滩美术馆美術館スポンサー理事を務める。
左は乔志兵、右は江上
コレクターのいきさつ
江上:乔先生は国際的なコレクターですが、アートをコレクションしようと思った原動力は何でしょう?
乔志兵:2006年末からアートをコレクションしました。今年の年末でもうすぐ10周年になりますね。最初の作品は若手作家の作品でした。一目惚れで買いましたが、その後その作家は消えてしまいましたが、まだ家に飾ってありますよ。
江上:偶然画廊に行かれたのですか?
乔志兵:というのも、最初私が高級クラブなどを経営しているのでその壁に飾る作品を探していました。それで画廊や芸術家のアトリエに足を運びました。
現代アートが集中の要、一緒に成長すること
江上:コレクションで焦点を当てている分野はありますか。
乔志兵:現在は現代アートが中心です。この10年でコレクションしている数は数百点でしょうか。でもやはり数よりは質が大事です。そして私はこのアーティストがよければその人をずっとコレクション 毎年します。例えば劉緯は一番最初の作品である作品からコレクションしています。その写真を見たときにこの作家はなんて知恵があるのだろうと衝撃を受けました。インスタレーションはコレクションすると場所も労力も必要ですが、彼の最新作である鉄の皮で使った大きなインスタレーションもコレクションしました。
油罐アートセンターを前に
江上:映像もありですか。日本の映像作家も最近多いですね。
乔志兵:日本の音のインスタレーションも持っていますよ。パフォーマンスをしたりする人ですが。バゼルでもそうですが、映像もコレクションしましたよ。
江上:なにでコレクションを判断していますか
乔志兵:もちろん感情のインパクトや人に考えさせるもの。それぞれの段階で着眼しているものが違いますよね。今は考えさせてくれるもの。もっと深い内容のあるものがいいですね。年齢の近い同時代の人には着目しています。一緒に成長していけるのがいいですよね。中間戦力に力を入れています。やはり彼らは必ず中国現代アートのだけでなく国際的な芸術家へと向かっていますから。張恩利、楊福東、徐震、などもそうですね。彼らの一番いい作品重要な作品もコレクションしています。彼らのことはよく知っています。彼らにとって最もいいスポンスは作品を買うことなので、私も彼らを支持し、お互いの関係です。
江上:コレクターにはアーティストと会う人と会わない人がいますが、作家には会うタイプですか。
乔志兵:アトリエで会いますね。作家を選ぶのは総合的な要素が大事です。人性を理解
している人は大体よい印象があります。
乔空間外観
乔空间 展示会場内
オープンした乔空間は?
江上:よく見られてますね(笑)乔空間は上海にあるのですよね。
乔志兵:ええ、上海にはプライベートアートスペースがたくさんあります。今度上海に招待しますよ。私が開いたのもプライベートスペースで友人がお酒を飲みながら展示を見れればいいと思います。今後は予約制で展示をオープンしようと考えています。
江上:具体的にはどのような規模ですか。
乔志兵:乔空間は450㎡の敷地面積があります。これは上海西岸芸術示範区域内です。ここでは芸術家、建築家、コレクター、画廊みなさんを歓迎しています。このスペースでは今後芸術の好きな人が集まって交流し、芸術教育を普及できるようにと考えています。VIP
ルームの家具はすべて中国若手デザイナーの李鼐によって作られています。空間では1190本の高さの違う円柱を用いています。
江上:なぜ最初の展示にWilhelm Sasnalを選んだのですか。
乔志兵:彼の作品は長年コレクションしています。彼の作品がすばらしいのと、作品が実は中国コンテンポラリーアートとも近いからです。
作品の前で フランス領事館の人々と
江上:乔先生が開いている2つのアートスペース、「上海之夜」と「乔空間」はこれからどのような関係になっていきますか。
乔志兵:ひとつは商業営業空間でひとつは純粋なアートの展示スペースです。どちらも私のコレクションを展示しますが、乔空間はもっと展覧会や芸術教育、サロンのようなアートの交流の場であると考えています。
江上:今度ぜひ上海で実際に見に行こうと思います。ありがとうございました。
上海の新しいアートスポット西岸芸術示範区域。ここでは現代アートを中心に新しいスペースがどんどんできている。ぜひ注目したい。
左は横浜トリエンナーレにも出展した張恩利、右は乔志兵
乔空間
龍騰大道2555号上海西岸文化芸術示範区
Wilhelm Sasnal展
会期:2015年9月8日-13日