製作する筆者
島に画材をもっていくだけでも一苦労、制作は体力勝負
1カ月弱のスケッチ旅行
4月きたる!4月といえば、中国では美大生がいっせいに地方へスケッチ旅行へいく。季節的にも春になるので、緑も多くなり、色彩の練習として油絵を描いたり、遺跡や博物館をみにいったりする。
専攻別
もっとも専攻によって違うので、今年彫刻科は西北路線の博物館めぐり、壁画科は麦積山で仏像観察、建築は福建省で伝統建築の測量、デザイン科はポーランドなどのヨーロッパ巡り、油絵科は西北路線の第一工作室、私の所属する第三工作室、第四工作室は雲南省大理。工作室によって違い、何年か前は工業デザイン科は日本にスケッチ旅行にいったりもし、とにかくデザイン科が一番裕福なのは確か!
それにおもしろいことに、私たち造型学院は一年生のときはスケッチ旅行といっても、北京の郊外しか行かせてもらえず、学年があがるにつれて遠くに連れて行ってもらえる。基本先生も自由なので、生徒が行きたい場所に行かせてくれる。
雲南省...
今回わたしたちがゆく雲南省の大理の洱海の港のそばの宿。宿の主も画家で宿自体が写生専用なのでとても安く泊めてもらえる。
雲南省の問題
現在観光がすすむ洱海は、多くの宿が建設され、洱海汚染の原因になっている。そこで現在法律で新しく建てることを禁止、洱海の漁業も半年は禁止されている、生態系を守るためである。
増える続ける宿と原住民が自分の家を不動産や投資会社に委託してしまったことにより、洱海に浮かぶ金梭島は島の半分が5つ星の高級ホテル、もう半分が村になっている。
でもここのひとはほとんどが白族という少数民族なので、女性はみんな白い民族衣装と帽子をかぶっている。みんな素朴な人で絵を描いていると水をくれたり、食べ物をおすそわけしてくれたり、優しい。
わたしの日課は朝8時出発で大きなキャンバスと画材を持って島に行き、夜8時半に帰る。島で絵を描いているとついつい時間をわすれてしまい、夜八時に最終船に乗り遅れてしまい、最後、なんとか船長の家を探しだして、船を出してもらった。
島の子供もとても無邪気で、みんな将来は村に残りたいという
大自然に囲まれながら、現代化する村を目の前にして何を思うか?
そして制作。
洱海
夢は宇宙飛行士、警察官
江上越 「記憶」
江上越 「記憶Ⅱ」
2015.5.27
江上 越(Egami Etsu)
1994年千葉市生まれ。千葉県立千葉高校卒業後、2012年中国最難関の美術大学・中央美術学院の造型学院に入学。制作と研究の日々のかたわら、北京のアートスポットを散策する。ここでは北京のアート事情、美大での生活などをレポートしてもらう。